【 研究紹介 】

【機能性色素】
​ ペリレンビスイミドを母骨格とする高性能エキシマー蛍光色素の開発


イオン・分子から細菌に至るまで見えないものを可視化するには,光を効率よく吸収・放出する色素が求められます.しかし,その機能を追求すると吸収する光と放出する光の波長が近接し,自己吸収によって発光強度が著しく低下するというジレンマに陥ってしまいます.そこで,ある種の色素が励起状態で会合体を形成し発光する現象(“エキシマー蛍光”)に着目しました.エキシマー蛍光は,吸収と発光スペクトルピークの差(“ストークスシフト”)が大きく先の問題解決に優れており,しかもターゲットを可視化する際,検出感度を低下させてしまうターゲット自身が発する光(自家発光)との区別をも容易にしてくれます.

我々は,新奇なエキシマー蛍光色素としてペリレンビスイミド系色素を母骨格とするN-環化ペリレンビスイミド(PBI)を分子設計しました.高濃度下,PBI-NC8は赤色の光を発するようになり(エキシマー蛍光),そのストークスシフトは160 nmにも達することがわかりました.

私たちの生活を豊かで艶やかなものにしている『色材』は,私たちにとって大変身近な材料の一つです.工学をはじめ農学,生命科学の各先端分野においては,その光特性(吸収,発光,散乱)を巧みに利用し,直接目で視ることができないイオンや分子を着色したり,光らせるなど可視化することに利用されています.例えば,環境汚染の原因となるイオン・分子をはじめ感染症の原因となるウイルス・病原性細菌を可視化することができれば,汚染源の特定,汚染拡大の防止や感染症の予防,迅速な治療に役立てることができます

そこで,我々は直接目では見ることができないイオン・分子をはじめタンパク質,ウイルス,細菌などを捕捉し,吸収,発光,散乱特性を変化させることで,これらターゲットを可視化する機能物質(“機能性色素”や“機能性ナノ粒子”)の開発に取り組んでいます.

【機能性色素】蛍光性ナノエマルジョンの開発

可視化技術に利用される色素は,光を効率よく吸収・放出し,さらに高い光安定性を示すことが求められます.全ての特性について優れた蛍光色素を得ることは容易なことではありません.しかし,一部の特性には劣るけれども,その他の特性については優れた色素ならば比較的容易に得ることができます.そこで,我々は個々の能力にはやや劣るもののたくさん集めることで,個々の能力を超える機能を発揮できるものが得られのではないかと考えました(「三人寄れば文殊の知恵」作戦).例えば,先に紹介したエキシマー蛍光色素PBIの唯一の欠点は,その低い発光量子収率にあります.しかし,たくさんのPBIを大きさが数十ナノメートル(nm)の油滴(“ナノエマルジョン”)の中に詰め込むことで,半導体ナノ粒子を超える優れた輝度を示す蛍光性ナノエマルジョンの開発に成功しました.

【機能性ナノ粒子】金平糖型金ナノ粒子を利用した病原菌検出薬の開発

金ナノ粒子は,有機色素とは異なり光を散乱する性質に優れており,光散乱体としての応用が期待されます.そこで,暗視野顕微鏡法を利用して病原性細菌の可視化技術の開発に取り組んでいます.

最近では,粒径が数百ナノメートルのシリカ粒子上に金ナノ粒子を吸着させた“金平糖型金ナノ粒子”を調整し,その表面にバクテリオファージを担持させたファージ修飾金平糖型金ナノ粒子を合成しました.ファージは,細菌に感染するウイルスであり,ファージを担持させた金平糖型金ナノ粒子と細菌を混合するとファージが宿主とする病原性細菌にのみ選択的にナノ粒子が結合します.その結果,細菌の散乱光強度が増大し,顕微鏡で観察すると検出したいと思う病原性細菌のみが,一際輝いて見えます.

【機能性ナノ粒子】金平糖型金ナノ粒子を利用した病原菌検出薬の開発

金ナノ粒子は,有機色素とは異なり光を散乱する性質に優れており,光散乱体としての応用が期待されます.そこで,暗視野顕微鏡法を利用して病原性細菌の可視化技術の開発に取り組んでいます.

最近では,粒径が数百ナノメートルのシリカ粒子上に金ナノ粒子を吸着させた“金平糖型金ナノ粒子”を調整し,その表面にバクテリオファージを担持させたファージ修飾金平糖型金ナノ粒子を合成しました.ファージは,細菌に感染するウイルスであり,ファージを担持させた金平糖型金ナノ粒子と細菌を混合するとファージが宿主とする病原性細菌にのみ選択的にナノ粒子が結合します.その結果,細菌の散乱光強度が増大し,顕微鏡で観察すると検出したいと思う病原性細菌のみが,一際輝いて見えます.

CONTACT US:

〒780-8520 高知県高知市曙町2-5-1

高知大学理工学部化学生命理工学科

渡辺・波多野・仁子研究室

Faculty of Science and Technology, Kochi University

WatanabeHadanoNikoLabratory